日本正教会

◆ 「正教会教団明治期建造物」重要文化財に(10/24) ◆

 日本ハリストス正教会教団境内地(東京都千代田区神田駿河台)の明治期建造物4棟(旧本館・現主教館、旧住宅・現神学校・居室、旧図書館・現教団事務棟、旧門衛室・現東京復活大聖堂教会事務所)について、10月24日(金)に開催された文化審議会は重要文化財に追加指定することを文部科学大臣に答申した旨、文化庁から報道発表されました。

 現主教館と現神学校他建物は、明治5年に当初ロシア公使館付属地として日本政府から賃借した、現在の正教会教団駿河台境内地に亜使徒聖ニコライを団長とする正教会伝道団(ミッション)が明治8年に既存の木造建物を取り壊してレンガ造2階建の西洋館を建設したもので、今般の文化庁報道発表資料で、「東京都内現存最古、全国有数の古さを誇る煉瓦造建築で、初期正教会教会堂の模範となった。関東大震災の被災により大きく改築されたが、1階の煉瓦造躯体(くたい)は当初の様相をよく留める」と言及されています。フランス人技師J.レスカス設計によるものと考えられています(「東京復活大聖堂(ニコライ堂)附属建物調査報告書」千葉工業大学 河東研究室、平成20年3月)。

 現教団事務棟と現東京復活大聖堂教会事務所は、復活大聖堂竣工(明治24年)後、同じくJ.コンドル設計により順次建設されたもので、今般の文化庁報道発表資料で、「旧図書館はJ・コンドル設計による明治28年の建築。3階は失われたが、防火床、鉄扉など耐火に配慮した図書館建築としての特徴を良くとどめる。旧門衛室は復活大聖堂とほぼ同時期の建築とみられ、建築当時の旧態を良く伝える」と言及されています。同報道発表資料は、「既指定の復活大聖堂とともに明治期における日本ハリストス正教会教団の敷地構成を現在に伝えるものであり、歴史的に価値が高い。○指定基準=歴史的価値の高いもの」と結んでいます。

文化庁報道発表「文化審議会の答申(重要文化財(建造物)の指定)」
同報道発表「別紙」(5頁【重要文化財 追加指定の部】に「正教会教団黎明期の遺構群」の説明)


1. 復活大聖堂竣工当初の境内鳥瞰図(明治24年3月)


2. 旧本館・現主教館の東側面 (明治10年代半ば頃)