日本正教会

◆ セラフィム府主教「豊橋聖堂・修復成聖式」執行(5/11) ◆

 去る5月11日(日)豊橋ハリストス正教会において、尊貴なる全日本の府主教セラフィム座下のご来豊を賜わり、西日本主教教区の行事としての「聖堂修復成聖式」が盛大に挙行された。

 1913年竣工、1915年2月成聖の聖使徒福音者マトフェイ聖堂にとって、今年は成聖110周年を迎えた節目の年である。2000年以降雨漏り等の補修頻度が高まり、いよいよ抜本的な対策を講じる必要性に迫られたことから、2008年に国重要文化財の指定を受け、建立後初となる大規模修復工事の道を模索。満を持して2021年初頭に着手された修復事業は、昨2024年9月に竣工。トレードマークの青銅色に酸化した銅板茅葺屋根を更新し、白壁は綺麗に塗り直され、直接人目に触れない部分に関しても、腐食箇所の交換などを経て耐震補強、風雨対策が施された。総工費およそ2億1千万円の事業のうち、教会負担は8パーセントで残りは公費による補助。

 5月10日(土)東京よりセラフィム府主教座下、随行員として長輔祭イオアン・ファヌラキス師、副輔祭ゴルディ松井裕司神学生、副輔祭イウスティン菊地圭佑神学生、また大聖堂教会で堂役を務めておられるイオアン露木一哉兄、西日本教区より長司祭パウェル及川 信師、長司祭ゲオルギイ松島雄一師、司祭グリゴリイ伊藤慶郎師、長輔祭ニコライ松田光剛師が豊橋に集結。「パンと塩」を携えたイアコフ満田 稔執事長による聖堂玄関での主教品出迎えをもって、16時より徹夜祷、早課ポリエレイからは府主教座下も祈祷に立たれた(陪祷:司祭ソロモン川島 大、長輔祭イオアン・ファヌラキス師)。参祷者42名。祈祷後は近隣の飲食店へ場を移し、聖務者と豊橋の役員有志とで座下ご一行の歓迎会。

 5月11日(日)9時半より主教聖体礼儀および聖堂修復成聖式。久方ぶりに鐘楼の鐘が鳴り響くなか、信徒会館からマンティア姿でお出ましの府主教座下を高校生のキラ河原崎有朱姉が花束で出迎え。この日は前述の聖務者に加え、九州北の司祭グリゴリイ水野 宏師も応援に駆けつけてくださった。

 まず、主教完装後の時課において誦経者選立式が行われ、地元・豊橋教会のアルセニイ三井治郎兄が誦経者に祝福された。その後、府主教座下によって聖所中央で「聖堂修復成聖祝文」が誦えられ主教聖体礼儀へ。メンバーが揃ったことから、聖歌は主教祈祷の手順通り聖務者と聖歌隊との掛け合いで歌われた。

 神品領聖後、セラフィム府主教座下による説教。癱者の主日福音に関する考察と併せ、聖堂修復成聖に際し「塗り直された白壁は洗礼着の純白さを想起させる。聖堂という器は当初の輝きを取り戻したがどうかこれに満足することなく、管轄司祭・信徒一人ひとりが「地の塩、世の光(マトフェイ5:13-14)」すなわちハリストスを衣る器でもあることを心に留め、全国にその名を馳せた往時の豊橋教会の再興を目指してほしい」といった主旨の激励メッセージを賜わった。

 昇壇外の祝文に引き続き、マトフェイのモレーベンおよび十字行。聖堂内へ戻り、祈祷の終結と修復工事関係者(魚津社寺工務店様、泉田英雄氏、伊藤晴康氏、西澤泰彦氏、豊橋市美術博物館様)の表彰。豊橋教会にも府主教座下よりハリストスのイコンが下賜され、一同の健勝を祝し「幾歳も」を唱和。参祷107名、領聖75名。近隣教会に加え、ありがたいことに筆者の出身教会や歴任地からも少なくない参祷者があった。

 ひな段を目一杯使用した集合写真の撮影を経て、13時より豊橋近郊を一望できる市役所内レストランでの祝賀会。関係各位より文化財指定に至る経緯や、工事にまつわる裏話、歴代司祭からは豊橋教会での思い出が懐かしく語られた。収容人数や座席配置などの制約はあったが、祝賀会は盛況のうちに閉会。

 司祭叙聖初年度より早速このような機会に恵まれるとあって、筆者は管轄司祭としての辞令交付を受けてまもなく準備に取りかかり、聖歌も名古屋教会・エレナ廣石淑子姉のご助力を得て半年以上かけ入念に練習を重ねてきた。とはいえ、未熟な点、至らぬ点も多く、各位に種々ご不便をおかけしたのもまた事実。

 それでも、跪く余地もないほどの賑わいを見せた聖体礼儀をはじめ、2日間を通じて大きな事故もなく終えられたことをひとまず神に感謝する次第である。また、今回得られた反省や経験を活かし、支えてくださった信徒の皆様、とりわけ多方面に奔走いただいた婦人会有志の方々への感謝も忘れず、今後とも宣教・牧会に邁進してまいりたい。

(豊橋ハリストス正教会 管轄司祭ソロモン川島 大)
掲載写真撮影:水谷明博氏(豊橋市、水谷フォトスタジオ)


豊橋正教会・聖堂修復成聖式参祷者(5.11)


誦経者祝福式


聖体礼儀・小聖入-1


聖体礼儀・小聖入-2


主教祝福「天より臨み見てこの葡萄園に降り~」


聖体礼儀・大聖入


主教説教


膝屈祝文


聖堂塗油


十字行(写真先頭が筆者)


十字行-2


感謝状授与

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